2009年3月26日 (木)

コラムNO.2 多様な人材が結集する「プラットホーム」の可能性

コラムNO.2 「多様な人材が結集する『プラットホーム』の可能性

                      ロッジングサービス株式会社 代表 平澤和男(アドバイザリーボードメンバー)

「プラットホーム」は地方の期待
民間主体による「観光地域経営フォーラム」は、まさに今の時代が求めていた、地方を元気にする役割を担う「プラットホーム」である。“フリー”“フェア”“オープン”を旨とするこのプラットホームは多様な人材を集結しており、時代の要請に応えてくれるものと期待される。フォーラムの掲げる「地域経済の活性化し、地域雇用を創出する」は特に緊急性の高い課題であり、地方は一日も早い成果を望んでいる。

旅行ニーズはいぜん旺盛 「発見・交流・感動・滞在」を志向
国内観光需要の低迷が続いているとはいえ、社会経済生産性本部実施の「日本人の旅に関するアンケート調査」によれば、実に9割(91.1%)の人が旺盛な旅行ニーズを持っている。また「海外よりも国内旅行」(52.6%)、「有名観光地域よりも『発見・交流・感動』」(59.9%)、「滞在型旅行」(75.2%)等を志向する人が多数を占めていることも明らかになった。

大量定年退職を迎える「団塊世代」の受け皿整備を図ることにより、時間的ゆとりがあり、旅経験が豊富で、滞在型旅行への関心も高い団塊世代による本格的な滞在型旅行の実現が期待される。地域や観光業界は総力を挙げて変革を達成し、受け皿環境を整備するべきである。

消費者の求める宿は「安全」「清潔」「低廉」「高品質」
40年前、わが国の大衆旅行時代に対応した低廉な宿泊施設の開発に取り組んだ。ヨーロッパ等のペンションをモデルに3年間調査・研究を重ね、「安全性」「清潔感」「家庭的なもてなし」「低価格」「洋室とベットの普及」を掲げたシステムを開発。1970年第一号の「ペンション」が群馬県草津温泉に開業した。“家族向けで高品質な新しいタイプの宿”として消費者の支持を得、現在では主要な宿泊施設形態のひとつとして全国に定着している。

宿泊に求める消費者のニーズは、現在も同じである。低迷する国内旅行の活性化策の一つとして、新しい形態の「宿泊特化型施設」づくりなども考えられるだろう。

「家族仕様の旅」の受け皿地域づくりを
5年前、国土交通省・経済産業省・文部科学省・厚生労働省の4省連携で家族仕様の旅の推進を目指す「長期家族旅行国民推進会議」が設置され、「家族旅行向け割引パス」などの仕組みも実現した。しかし、家族の旅ニーズと受け地側のギャップはまだまだ大きい。「家族仕様の旅」の受け皿観光地域づくりに向けて、消費者ニーズに応える大胆な取り組みが求められている。

三重県志摩市では、歴史と個性豊かな伝統文化をもつ5町(現在は合併)が連携して「志摩観光地域づくり推進会議」を設置。平成17年「観光みらいプロジェクト」(国土交通省)に応募・採択され、泊食分離を基本とする「家族仕様」の長期滞在プログラム開発事業に取り組んでいる。検討部会には農業や水産漁業関係者など地場産業関係者80名以上が集結し、英虞湾などの自然の恵みの中で育まれた歴史や文化を観光資源とする体験型の新しい観光交流空間づくり、それを支える「観光振興ファンド」の設置等の事業方針をまとめ、事業化を鋭意推進中である。

調査研究事業から3年を経た現在、同地域では漁業関係者の手で伝統の海女文化を伝承する「海女小屋料理」や、千年来の歴史をもつ特産品「あおさ」を活用した商品開発、農業関係者による「南張メロン」「志摩キンコ」の“志摩ブランド化”等の事業が進みつつある。当初は「観光テーマの席についたのは初めて」と言っていた一次産業でこうした事業化が実現できたことは、まさに地域経済活性化や地域雇用創出につながる成果であり、今後の持続可能な観光地域づくりへの発展可能性を示したといえよう。

地域の魅力を発信するサイト「日本の郷文化」がOPEN
こうした成功事例や先の調査結果は、たとえ観光面で知名度の低い地域であっても「郷には磨いて活かせる資源が眠っている」ということ、また祭りや食文化などの“郷文化の魅力”を発信する広域連携型の情報発信が効果的であることを示している。

サイト「日本の郷文化」は、こうした地域の魅力を見せ、訪れてもらい、より長く滞在してもらうことを目的に、地域関係者のご協力のもと昨年10月開設された。今後は情報カテゴリーやコンテンツの充実を図り、「地方発信プラットホーム」の役割を担えるサイト運営に努めていきたい。皆様のご指導・ご協力をいただければ幸いである。


◆「日本の郷文化」
http://www.jpsatobunka.net/

<プロフィール>平澤和男
1943年生れ。ヨーロッパスタイルのペンションの日本への導入に携わり、各地のペンションやペンションヴィレッジ、および「ピアホリディシステム」の開発・普及・経営指導を手がける。家族仕様の旅の普及推進に関する各種協力業務や、各地の観光交流空間づくりに関する企画・調査研究事業等を通じて、観光立国実現を目指している。現在、NPOピアホリディ文化交流協会代表・ロッジングサービス㈱代表・(有)平澤建築設計事務所代表・観光地域経営フォーラムアドバイザー。

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